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メインフレームによるサーバー統合

特集記事:IBM社内事例に見る「ITのエネルギー効率化」-Chapter2/4

統合対象の選定

では、約8,600台ものサーバーを、いったいどうやって統合するのか。この計画を進めるにあたり、IBMは約8,600台の中から、サーバー統合によるTCO(Total Cost of Ownership: 総維持費用)削減効果が高い約3,900台のサーバーを選び出した。つまり、コストを度外視して、すべてのサーバーを統合対象とすることを避けたのだ。
選定のポイントは、"塩漬け"になっている非効率なサーバー群という観点と、重要なトランザクションが動いているサーバー群という観点である。サーバー統合により改善すべき効率性と、メインフレーム・レベルの信頼性が必要であるという2つの側面が重視されたことになる。
「特に3~5年以上使用された古いサーバーが最優先されました。これらは最新のサーバーと比べると性能が低いため、より多くの台数を統合できると考えられます。それからもう1つ、移行のコストが膨らまないようにするための判断も、重要なポイントとなりました。たとえば、Java®アプリを優先する、Windows®からLinux®への移行はしない、といったような判断です」と、北沢氏は補足する。

具体的には、次のような複数の観点から、統合対象の検討が進められた。

こうして、最終的に8,600台の中から3,900台が統合対象として選定された。なお、今回の統合対象とならなかった残りの4,700台についても、今後、段階的に統廃合を進めていく方針だという。

統合先の選定

一方、統合先プラットフォームの選定にあたっては、メインフレームやUNIX®サーバーなど、複数のIBM製品で評価を実施。現行アプリケーションの特性や、統合後のランニング・コストを考慮するなど、さまざまな角度から比較検討を行った。
その結果、約3,900台分のサーバー統合先に選ばれたのが、メインフレーム「IBM System z9®」である。IBM System zは、いわゆるメインフレームOSであるz/OS®に加え、オープン系OSであるLinuxも2000年からサポートされている。今回、統合対象に選定された約3,900台の分散系サーバーは、今後数年をかけて、約30台のIBM System z9で稼働する複数のLinux環境に集約されることになった。

「分散系サーバーを約30台のSystem z9に統合」のイメージ

図2.分散系サーバーを約30台のSystem z9に統合

ここで、「今さらメインフレーム?」と考える人も多いだろう。ダウンサイジングの波に逆行していることを考えると、IBMだからこそコストを無視してもメインフレームを採用したのではないかと、勘繰りたくなる人も出てくるかもしれない。
しかし、IBMがLinuxの動くSystem z9を採用した理由は、どのプラットフォームよりも運用管理コストが低かったという極めて合理的な判断だという。次にそれを見ていこう。

まず、比較を単純化するため、今回のプロジェクトと同規模の処理を分散系サーバー環境(UNIX, Windowsなど)で実現する場合とIBM System z9による統合環境で実現する場合でコストを比較してみる。すると、1年目の初期導入コストでも分散系のほうが高く、毎年運用コストの差が積み上がっていくことが分かる(図3)IBMは、今回の統合プロジェクトで、移行コストを加味しても今後5年間で約2.5億ドル(270億円)削減が可能であると見ている。
「5年間の累積コストの比較(分散系サーバー環境とIBM System z9による統合環境)」のマーカー付き折れ線グラフ

図3. 5年間の累積コストの比較(分散系サーバー環境とIBM System z9による統合環境)

注)移行コストは含まない。いずれも初期導入した場合で比較。


実際、ここ数年、IBM社内ではメインフレーム上のLinuxが採用されるケースが急激な伸びを見せており、2006年の処理能力の増加は300%以上にも達する。IBMも一企業としてコスト削減の重圧にさらされており、処理量の増加に合わせて運用員を増加させていくわけにはいかない。そこで、運用管理が効率良く行え、トラブルなどに煩わされない高信頼性のIBM System z9の採用が伸びたというわけだ。
「実は、統合化という1つの大きな目的のもとに考えれば、IBM System z9は、エンド・ユーザー1人あたりのITコストが最も小さかったという試算があります。今回も35万人の社員が使うプラットフォームとして、最もコストが低かったのだと言えるでしょう」と舟久保氏は強調する。
「IBM社内ではSystem zの採用が伸びている」の集合縦棒グラフ

図4. IBM社内ではSystem zの採用が伸びている

IBM, IBMロゴ, DB2, System z, System z9, WebSphere, z/OSは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは Sun Microsystems, Inc.の米国およびその他の国における商標。
Windowsは Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標。
Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標。
UNIXはThe Open Groupの米国およびその他の国における登録商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。

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