仮想化によるITの抽象化
この特集記事の最終章として、仮想化と企業情報システムの近未来を展望してみたい。
情報システムを利用する企業やユーザーにとって、最終的に必要となるものは、サーバーなどのITリソースではなく、探している情報を入手すること、あるいは、通信相手とコミュニケーションをとることなどがあげられる。従って、ユーザーにとっては情報と自分を結び付けてくれるサービスさえあれば、他のもの、つまりPCやサーバーやOSやミドルウェアなどのITインフラは、無くても全然構わないものになる。仮想化によって、ITインフラが完全に抽象化される日がいずれやってくるだろう。ユーザーの前には、もはやアプリケーションもなく、あるのは情報を運ぶサービスだけになる。

図8.IT資源の有効活用から、サービスの仮想化へ
ITインフラはどこに消えてしまったのかというと、ユーザーの知らないどこかのデータセンターに隠れてしまうだろう。そして、そのデータセンターは、インターネットを中心に発展しているクラウド・コンピューティングのダイナミックかつスケーラビリティーな性能と、ミッション・クリティカルなトランザクションが流れる既存の企業データセンターのセキュリティーや可用性が統合された「次世代エンタープライズ・データセンター」へと進化し、企業はITリソースのプラットフォームの違いやOSの違いを意識することなく、ビジネスの課題解決に注力できるようになるだろう。
Web中心のクラウド
- ダイナミックな情報伝達
- どこからでもアクセス可能
- 共有化、トラフィックの最適化、スケーラブル
エンタープライズ・データセンター
- ミッション・クリティカルなトランザクション
- 制御されたアクセス
- セキュリティーおよび保全性の最適化
上記2つが統合され、下記「次世代エンタープライズ・データセンター」へと進化
次世代エンタープライズ・データセンター
- リクエスト駆動型、ダイナミック、仮想化、スケーラブル
- 複数のワークロードで共有するインフラストラクチャー
- セキュリティー、トランザクション、データ保全性の最適化

図9.エンタープライズ・クラウド・コンピューティングへ
いずれにしても、仮想化はさまざまな情報資源を柔軟に結び付けるテクノロジーとして今後、さらに重要性を増していくだろう。そして、企業が、その恩恵を正当に享受できるよう、IBMはさまざまな製品やサービスを提供していきたいと思う。
- chapter1.仮想化技術とシステム管理者の悩み
- chapter2.IBMの仮想化システムとアドバンテージ
- chapter3.失敗しない仮想化導入プロセス
- chapter4.仮想化と今後の企業ITインフラ
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