
「ファイル・プール」環境では、物理ボリュームや論理ボリューム単位にディスク容量をサーバーに割り当てるのではなく、実際に作成されたファイルが必要とするディスク・スペースを、ファイル・プールが必要な分だけ割り当てます。
「ファイル・プール」は、NFS(ネットワーク・ファイル・システム)の考え方に似ています。NFSがネットワーク・ファイル・アクセス・プロトコルを使うのに対して、ファイル・プールはチャネル・インターフェースを直接使ってデータ転送を行うため、LANの利用は最小限に抑えられます。
「ファイル・プール」では、LAN/SANの両方を使用し、それぞれの利点をうまく利用します。SAN環境では、次の2種類のデータの持ち方が考えられています。
- メタデータ:
メタデータ・ファイルは、ファイル名、サイズ情報、変更日付、アクセス制御リストなどの情報を持ちます。メタデータはどれも非常に小さく管理されており、頻繁に変更されることはありません。この小さなメタデータはLAN経由で送られます。 - ファイル・ペイロード・データ:
ファイル・ペイロード・データのデータは、スプレッドシート、データベースの表、ビデオやオーディオ・データなどがあります。一般に、ペイロード・データはサイズが大きいという特長があります。利用しているうちに次第に大きくなるペイロード・データは、SAN経由でデータ転送するしくみが必要です。
次に、「ファイル・プール」の考え方をTivoli SANergy File Sharing(SANergy
FS V2.1)を例に説明します。SANergyは、LAN/SANハイブリッドの利点を活かし、ファイル・データを透過的にSANにリダイレクトすることによって、SANの速度でファイル共用を実現します。このとき、LANはメタデータの同期化だけに使用します。SANergyは、WindowsNT、Windows2000、MacOS、AIX、SGI
IRIX、Sun Solaris、Tru64など、SANに接続されたオペレーティング環境をサポートしています。
SANに接続されたシステムの1つをMDC(Meta Data Controller)として指定し、パーミッション、アクセス権、ネットワークにおけるロケーションなどの制御情報を管理します。このMDCシステムは、ネイティブNTFSファイル・システムを備えたWindowsNTまたはWindows2000、またはネイティブSolarisファイル・システムUFSを備えたSun
Solaris上で動作します。
オプションの高可用性(High Availability)機能は、WindowsNT4.0またはWindows2000環境で利用できます。使用中のMDCシステムが障害を起こした場合、あらかじめMDCの自動障害リカバリー・モニターとして指定された、動作中のWindowsNTかWindows2000クライアントの中から新しいMDCシステムを自動的に割り当てます。
MDCシステムはディスクをマウントし、メモリー内にディスク・マップを保持します。NTFS共用やNFS経由でディスクを共用します。
- Windowsクライアントは、標準装備のWindowsネットワーキング、及び共用機能(CIFS)を使います。
- UNIXクライアントは、NFSを使って共用ボリュームをマウントします。
- Macクライアントは、DAVEを使って共用しているWindowsNTボリュームをマップします。
SANergyを導入したそれぞれのクライアントは、LAN経由でMDCシステムにファイルを要求します。MDCシステムは、クライアントにデータ取り出しのためのポインター情報を提供します。ファイル・データは、SAN経由で、直接クライアントに転送されます。
