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シリーズ #1 X-アーキテクチャーの系譜

第二回 CPUの話 前編

IBMの技術者が考える「サーバー」をリレー連載

CPUの話 前編

今回はCPU(プロセッサー)の話をします。なんだかこういう声が聞こえてきそうですね。 インテル®のCPUを搭載しているX-アーキテクチャーの中で、CPUの部分になんらかのIBMらしいテクノロジーが入っているかって? 当然のことながら、IBMのSystem x®は、コモディティと思われがちなCPUの部分に関しても恐竜の遺伝子を加えています。

まず紹介したいのが、System xのハイパフォーマンス・サーバーにおける恐竜の遺伝子について。

IBMはかなり昔からスケーラブルなx86サーバーを開発しています。 1995年(私が入社した年です)には、インテル® Pentium® プロセッサー(初代!)を6個搭載したPC Server 720を発表しています。 当時のx86サーバーは、メインフレームやUNIXサーバーと比べて性能・機能が低いと思われていて、「PCサーバー」や「パソコン・サーバー」と呼ばれていました。 ほとんどのハードウェア・ベンダーが2CPUまでのサーバーを出荷していた時代に「6CPU」ですよ!こういうところからも、 ファイル・サーバー/プリント・サーバーのような用途に限られていたx86サーバーが、企業で必要不可欠なプラットフォームになると確信して開発していたことが分かります。

スケールするx86サーバー

その後も、8CPUのインテル® Pentium® III Xeon® プロセッサー搭載サーバー・Netfinity® 8500Rなどを経て、 2002年には、インテル® Xeon® MPプロセッサーを16CPUまで搭載可能な xSeries® 440を発表しています。 このxSeries 440で、初のエンタープライズX-アーキテクチャー(EXA)を名乗り、エンタープライズ向けの製品であるということをアピールし始めています。 エンタープライズX-アーキテクチャーでは、いくつかのIBMの遺伝子が投入されています。

まず、16CPUまでの段階的なスケーラビリティを持つサーバーであること。 2CPUからの構成が可能で、必要に応じてCPUを追加していけるXpandOnDemandという思想を、x86サーバーの世界に初めて投入しています。 これは、CEC(Central Electronics Complex)という、CPUとメモリーの単位でリソースを追加していくことで、CPUを増やせる(図1)というものです。 それまでのx86サーバーでは、リソースが足りなくなったらサーバー本体を追加するという対応が一般的でしたので、必要に応じてリソースを増強できるXpandOnDemand方式は画期的なことでした。

このCECを追加してリソースを増強するというテクノロジーも、もともとはIBMの zSeries®(現 System z10™)やpSeries®(現 Power Systems™)で使われていたテクノロジーで、 それをx86サーバーにも適用したわけです。

(図1)スケーラブルなリソース追加の例
スケーラブルなリソース追加の例を説明している画像

独自開発のチップセット

こうした画期的な機能は、x86サーバーの心臓部である「チップセット」と呼ばれる部分で実現しています。 IBMでは、ハイパフォーマンス・サーバーのチップセットを自社で開発しています。チップセットを自製することにより、本来4CPU構成として設計されているCPUを、16CPU構成などに拡張できるのです。 このチップセットという言葉は、この後もちょくちょく登場するので覚えておいてください。

xSeries 440は、エンタープライズ X-アーキテクチャーの第一世代となります。この後、2003年には第二世代のxSeries 445、2004年には同じく第二世代のxSeries 455を発表しています。 また、2005年には第三世代のxSeries 460(後のSystem x3950)を発表しています。 第三世代のエンタープライズ X-アーキテクチャーでは、インテル® Xeon® プロセッサーで32CPU構成ができるようになるなど、着実な進歩を見せています。

しかし、ただCPUが増えただけでは、きちんと性能をスケールさせることは実際には難しいのです。 これらのハイパフォーマンス・サーバーでは、向上したCPU性能を正しく引き出せるよう「レベル4キャッシュ」という独特なキャッシュを持ち、ハードウェア・レベルで補助する仕組みになっていました。 これは、エンタープライズ X-アーキテクチャーで開発された成果の1つです。 レベル4キャッシュは、各CEC間の間に入るキャッシュとして機能し、メモリー速度の向上に寄与しています(図2)。 スケーラビリティの欠如は、CPU、メモリー、そしてI/O能力のアンバランスさから生じることが多いので、メモリーも一緒に機能拡張する必要があったのです。

(図2)L4キャッシュの例
L4キャッシュの例を説明している画像

このように、IBMは、15年前からインテル®製CPUを搭載したサーバーの未来を見据え、真のエンタープライズ向けx86サーバーを提供し続けてきました。 実際、各種の世界No.1のベンチマーク性能(TPC-Cなど)をもって、x86サーバーの世界をリードしています。

次回は、最新の恐竜の遺伝子を持った、現在の第四世代エンタープライズ X-アーキテクチャーをご紹介する予定です。

(不定期連載 次回は5月中旬を予定)

今回の記事執筆者:
日本アイ・ビー・エム株式会社 システムx事業部 テクニカル・セールス
Systems & Technology エバンジェリスト 早川 哲郎


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