
CPUの話 後編
今回は前回に引き続きCPU(プロセッサー)の話をします。前回は、第三世代までのエンタープライズ X-アーキテクチャーについてお話ししましたが、今回は第四世代のエンタープライズ X-アーキテクチャー搭載サーバーである、IBM System x® 3850 M2 / System x 3950 M2についてお話ししましょう。
96コアまでスケーラブルなSystem x3950 M2
IBMでは、これまでも最大コア数が「64コア!」というx86サーバーでは超巨大なサーバーを提供していましたが、2008年には、最大「96コア!」というモデルを発表しています。それがSystem
x3950 M2です。このサーバーは、前回もお話ししたXpandOnDemandテクノロジーにより、段階的にプロセッサー能力を増やせるよう設計されています。
(図1)96コアまでのスケーラブルなシステム

System x3950 M2は、お客様の資産を生かしながら、必要に応じて能力を拡張できるサーバーとして、IBMのシステム製品の中に共通の遺伝子として入っている「お客様の投資の保護」を実現するために開発された製品です。x86サーバーでは非常にユニークな存在であることは間違いないでしょう。
そして、ユニークなだけではなく、処理も非常に高速です。オンライン・トランザクションの業界標準ベンチマークとして有名なTPC-Cの計測結果では、x86サーバーにおいて初めて「百万トランザクション/分」超えを実現した製品です。また、これは今日においても※破られていません。
IBM System x3950 M2 ― TCP-C Result Highlights
※ 2009年5月現在
共通化されたコンポーネントでアップグレードも容易なSystem x3850 M2
4ソケット(24コア)サーバーであるSystem x3850 M2は、System x3950 M2と同等のエンタープライズX-アーキテクチャーが組み込まれています。 例えば、当初のサイジングが24コアで十分だと思っていて導入したシステムが、予想以上のワークロードの増加によりリソースが足りなくなりそう!という経験をした方もいると思いますが、System x3850 M2なら、「スケール・エクスパンダー オプション・キット」を追加することで、System x3950 M2相当にアップグレードできます。 当初のコストを抑えてシステムを導入し、必要なときにXpandOnDemandテクノロジーで追加する。これこそ、理想的なシナリオではないでしょうか?
スケーラブルなサーバーの秘密「スヌープ・フィルター」
x86アーキテクチャーでは、SMP構成にした場合、複数のアプリケーションが同時に実行されますが、この時、同じメモリーを書き換えてしまう可能性があります。それを防ぐため、プロセッサーは必ずメモリー・アクセスの競合が起きていないかをチェックします。これを「スヌープ信号」と呼んでいますが、このスヌープ信号は、メモリーにアクセスする際に毎回発生します。当然、コア数が増えるとスヌープ信号も増えます。これがCPU数を増やしたときのスケーラビリティの制約となっていました。
この問題を、フィルターを使って解決した技術が、「スヌープ・フィルター」です。スヌープ・フィルターは、下図のように実装されているのですが、これにより、FSB上のスヌープ信号を大幅に減らしています。
(図2)スヌープ・フィルターのしくみ

今となっては、スヌープ・フィルターが搭載されているチップセットも増えていますが、x86サーバーではIBMが初めて世に送り出したテクノロジーです。前回ご説明したレベル4キャッシュと併せて覚えてくださいね。
次回はメモリーの話をします。ご期待ください。
(不定期連載)
今回の記事執筆者:
日本アイ・ビー・エム株式会社 システムx事業部 テクニカル・セールス
Systems & Technology エバンジェリスト 早川 哲郎
